Rides Against

Rides Against(ライズ アゲインスト)─グランド・セフト・オートシリーズにおけるロールプレイングコミュニティ「RP_JP」発の、複数人によって運営される自動車総合情報サイトです。主にGTA5内に登場する架空の自動車を、現実世界の媒体に負けない熱量で、リアルにレビューしていくという活動をここで発信しています。(モデル車両のスペック及び史実との乖離に関してのご意見、ご感想は一切受けかねます。)

Vol.8 "速すぎる"という欠陥 -1986 Vapid GB200E-

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ヴァピッド GB200E

速い車を構成する古典的な要素とは何だろうか?

言うまでもないが、軽い車体とハイパワーなエンジンだろう。

そんな昔ながらの思想にプラスしてラリーの過激なテイストを盛大にぶちまけた結果がこのGB200だ。

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基本的なスペック


販売期間:1984-1986年


ボディタイプ:2ドアクーペ


エンジン:2.1L V6 DOHCターボ


最高出力:450英馬力


駆動方式:M-AWD


全長:4000mm


全幅:1764mm


ホイールベース:2530mm

 

車両重量:1130kg

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戦うためのマシン

先に断っておかねばならない。GB200は戦う為に生まれたマシンだ。同年代の大多数のスポーツカーのようなモダンさもエレガントさも持ち合わせていない。その代わり同年代のどのスポーツカーよりもイカレてるであろう運動性能を持っている。

スペックを見てわかるようにGB200は非常にコンパクトなボディを持っている。そのコンパクトな車体の骨格はアルミハニカム製のモノコックシャシーで前後にスチール製のサブフレームを持つ。

頑強かつコンパクトなフレームにグラスファイバーの殻を被せ、エンジンをミッドに搭載するといった構造は伝説のラリーカー トロポスを彷彿とさせるが2台には大まかな文法が同じであるということ以外の共通点はない。

そしてなによりも後輪駆動のトロポスに対してGB200は四輪駆動だ。どちらがより高いパフォーマンスを発揮するかなどここで語るまでもないだろう。

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"E"

今回紹介するGB200だが大多数の生産数を担うGB200とラリー参戦を睨んで製作された よりパワフルなエンジンを搭載するGB200Eの2種類が存在している。

"E"が意味するのは"進化"なのか"改良"なのかは定かではないが"E"はノーマルモデルよりも更に過激であるということは確かだ。

そして今回扱うのはノーマルではなくGB200E。

まるでタイヤのついたミサイルのような暴力的なパフォーマンスを誇る国産スーパーカーだ。

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ヴァピッドの本気と狂気
2.1LのV6ターボエンジンは400馬力を優に超える出力を持つがこのラリーウェポンにはABSやTCSといった電子制御どころかパワーステアリングすら装備されていない。

軽量コンパクトなシャシーにハイパワーなターボエンジンと4WDを搭載したGB200の戦闘力は非常に高く、現代のスポーツカーと比べても何ら遜色ないパフォーマンスを発揮する。

しかし、これだけの過激なスペックを内包するモンスターが電子制御を持たないことを何を意味するかは簡単に答えが出るはずだ。

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命がいくつあっても足りない!

GB200は1100キロそこそこの軽量・コンパクトな車体を400馬力オーバーのエンジンと四輪駆動によって加速させるのだがその加速力は生半可なものではない。

加速を表す比喩にも様々なものがあるが今回味わった0-60mph加速3秒という現実離れした加速を表すに最も相応しいと感じたのは「放り投げられる」という表現だ。

一度アクセルを踏み込めば凄まじい加速Gによって視界は歪み、息は詰まり、体はシートにめり込んでいく。そしてなにより恐ろしいことにこの車は真っ直ぐ加速しないのだ。

パワーに対して軽すぎ、小さすぎの車体は簡単に人の手を離れて物理法則に身を任せようとする。ほんの僅かなギャップでノーズは忙しなく左右にチラつき、気がついた頃には明後日の方向を向いている。

コーナーでも常に緊張感が付き纏う。

小さすぎる車体はブレーキングと同時にテールが振り出されそうになり、旋回中はミッドシップ特有の重いリアが原因で唐突にアウト側へと吹っ飛ぶことすらあった。

かつてGB200Eはレース中に飛び出した観客を避けようとしてコントロールを失い、観客の群れに飛び込むという凄惨なアクシデントを起こしているがそれも納得の神経質なハンドリングだ。

これでは命が何ダースあっても足りない。とてもじゃないが全開で走るなんて真似が出来る車ではない。

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最後に

GB200は元ラリードライバーの私にとってトロポスとともに憧れの車だった。しかし、本記事からわかるようにこの車はアマチュアに操れるものではない。今日1日馬鹿みたいにクローズドコースを跳ね回り、路面を轍だらけにしたわけだが事故と同時に歴史の闇に葬らた事実が示しているようにこの車は危険極まりない怪物だ。今回は墓荒らしのような形になってしまったが葬られた車には葬られた経緯が付き物だ。彼らは我々が決して憧れや興味本位で触れるべき存在ではないのかもしれないと痛感させられた。

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