Rides Against

Rides Against(ライズ アゲインスト)─グランド・セフト・オートシリーズにおけるロールプレイングコミュニティ「RP_JP」発の、複数人によって運営される自動車総合情報サイトです。主にGTA5内に登場する架空の自動車を、現実世界の媒体に負けない熱量で、リアルにレビューしていくという活動をここで発信しています。(モデル車両のスペック及び史実との乖離に関してのご意見、ご感想は一切受けかねます。)

Vol.17 元祖高性能SUVの見据える未来 -2014 Gallivanter BallerSports Limited Edition-

ガリバンター

ボーラースポーツ LE

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欧州SUVの雄、ガリバンター

  ガリバンターと言えば、SUVのみを専門としたイギリスの自動車メーカー、そして欧州自動車界を代表する高品質で格式ある存在だと言うことは言わずもがな。特に人気のある「ボーラー」シリーズの、誰もが納得いくオン/オフロード走行性能に唯一無二のコンセプトを纏う高級SUVというカテゴリーは、登場当時はベネファクター社のダブスタ等ほんのひと握りの競合メーカーのみが踏み込める領域のものだった。

 今回紹介するのは、そのボーラーシリーズの中でも、2005年に誕生した高性能チューンナップモデル「ボーラー スポーツ」シリーズの2014年発売最新モデル、ボーラー  スポーツ LE(Limited Edition)。

  一見あまり違いの見られないエクステリアであるが、実際に見て、触れて、 乗ってわかる桁違いの性能を、少しでも感じとって頂ければ幸いである。

 


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基本的なスペック

販売期間:2014-

ボディタイプ:5ドアSUV

駆動方式:4WD

エンジン:5.0ℓ V型8気筒 スーパーチャージャー付きDOHC

最高出力:550ps

変速機:8速オートマチック

サスペンション:前・クロスリンク電子制御エアサスペンション ダブルウィッシュボーン  後・クロスリンク電子制御エアサスペンション マルチリンク

全長:4,880mm

全幅:2,020mm

全高:1,800mm

ホイールベース:2,920mm

 

高級SUVの先駆け

  まずはボーラーそのものの歴史を振り返らなければ始まらない。今でこそ自動車販売数でのトップを走るまでになった高級SUVというカテゴリーであるが、その元祖は間違いなく初代ボーラーである。

 1970年、イギリスに設立されたガリバンター社は、設立早々「ラグジュアリーカー・エステートカー・パフォーマンスカー・クロスカントリーカーの4つの車の役割を1台で可能にする車」という挑戦的すぎるコンセプトを掲げた初代ボーラーを生み出す。


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  21世紀に入り高級大衆関わらず世界中のメーカーが高級高性能SUV(いわゆるクロスオーバーSUV)を市場に送り込むまでになるが、当時はこのような車はほぼ存在していない。該当するとしたら先述したベネファクター社のダブスタか、強いていえばデクラス社のランチャー程度である。

  それが手探りでの開発であったことは大いに想像がつくものだが、ガリバンター社の初代ボーラーは自動車開発における様々な2択クイズに全て正解してきたと言えよう。極力シンプルにし剛性と整備性に特化させたシャーシに、馬力よりトルクを重視した静かなV8エンジン、オフロード走行を前提に前後車軸式サスペンションとするものの、ストロークが長く柔らかいコイルにすることにより乗り心地を良くする、という全てにおいてギリギリなバランスで組み上げられた最高の回答である。

  もし選択に間違いがあったとしたら、山道も舗装路もろくに走れず、騒々しいエンジンで後席の客人を叩き起す最悪な鉄の箱の出来上がりだったろう。

 

 その後も2代目、3代目と順調に高級SUVとしての道を歩み続ける。次第に高級車市場はセダンからSUVがメインの座を奪うようになり、大量のライバルが現れ始めるが、ボーラーは変わらぬ姿勢を貫き続け、未だにカテゴリー内での中心モデルであり続けている。

 

世界最速SUVへの挑戦

  話をこの車に戻そう。2005年に登場したボーラースポーツは、3代目のモデルをベースとし、主にオンロードでの走行性能を高めるチューニングが施されたモデルで、オプションパーツによるアップグレードではなく、ひとつの独立した車種としての扱いとなっている。

  スタンダードモデルより排気量が拡大されたV8エンジンと、新たに見直されたサスペンション、コーナリング性能のためにホイールベースの短いシャーシを別途用意するという力の入れようで、そのアグレッシブにドレスアップされた姿も相まって大好評を博した。

  本車は2代目にあたるボーラースポーツをさらにチューニング。ベースのボーラースポーツを凌駕する規模のアップグレードが施されている。

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[↑読者の多くは既に気づいていると思うが、筆者はどうやら雨男らしい。]

  まずボディである。オールアルミモノコックとなった4代目ボーラーであるが、ボーラースポーツLEは更なる補強と、ボディサイド面、ボンネット、ルーフにおける空力性能の向上を目的としたリシェイプを施している。

  エンジンは、スタンダードモデルの4.4ℓから5ℓへ拡大されたV8 DOHCに、ターボより瞬発力で軍配の上がるスーパーチャージャーを装着。そのパワーは550psにものぼり、トルクは69.3kgmを叩き出す。

  トランスミッションは標準と同じトルコン式8速オートマチック(もはや8速程度じゃ驚かなくなってしまった)だが、ボーラースポーツLEは「オート」と「ダイナミック」という走行モードをボタンひとつで切り替え可能なのである。

  アグレッシブなボーラースポーツLEの素顔を見るならダイナミックモードに設定。            550psの暴力的なパワーを電子制御の足回りがコントロールし、そこらのスポーツカーにも真正面から太刀打ちできるという…何とも楽しみではないか…!

  

実際に乗ってみた

  ようやく実走である。まずはエクステリアから。

  当たり前だがかなりデカい。全幅は2,020mmで、全体的に大型化している昨今の自動車界から見ても2mの大台を超える車はやはりとても大きい。重厚感ありありのフロントフェイスも相まって大迫力だ。f:id:LsCarLife:20181204005457j:image

[↑ボディサイズを聞き、「はて、現行ボーラーは1,980mmくらいじゃ?」と思ったがなるほど、かなり大きなオーバーフェンダーが前後とも標準で装着されている。]

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[↑灯火類は当然LED。先代の角目から一変、シャープな目元を手に入れ歴代シリーズダントツに厳つい顔つきになった。]

    乗る前に驚いたのがボディ各所に散りばめられたカーボンパーツの存在である。

  まずは前後エアロ、サイドスカート下部。これはまぁよく見る。しかしフロントグリル全体と、ボディサイドに配置された大型のエアアウトレット、全てのウインドウをぐるりと取り囲むカーボン製のピラー…これらには度肝を抜かれた。

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  もはや高級車において一般的なパーツとなりつつあるカーボンであるが、ここまでダイナミックにボディ全体に使用する例は、スポーツカーだとしてもあまり見受けられないものである。

  ボーラーはSUVにおいてかなり早い段階でオールアルミモノコックボディを採用したが、それに加えてここまでのカーボンパーツの使用なら、このボディサイズでも同系列のスポーティSUVと同等かそれ以下の車重だと思われる。

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[↑ボーラースポーツLE専用に用意された22インチアルミホイール。漆黒のスポークの間からかなり大経のブレーキが覗いている。フロントブレーキは脅威の16pot!]

 

  エンジンをかける。

 

  のっけから絶好調なエンジンはV8の咆哮を遠慮なく響かせる。OHVとは違うDOHC特有のサウンドは、品があるものの確実に危ない性能を秘めた心臓が鼻先に乗っかっているという感覚が車体全体を覆っているようだ。f:id:LsCarLife:20181204011819j:image

  まずは舗装路をオートモードで走る。

  筆者は3代目、現行の4代目ボーラー、ベースの2代目ボーラースポーツに乗った経験があるが、その全てに言えることは、「こんなにも重く腰高なはずの車なのに、それを感じさせないコーナリングフィール」であるという事だ。電子制御式のサスペンションはコイルではなくエアサスペンション。その都度コンピュータがキャラクターをコントロールし、常に全輪が最適な状態を保つことができるのである。

  だがこのボーラースポーツLEはその中でも抜きん出ていて、オートモードによる街乗り用サスペンションキャラクターの制御もあって、まるでFRの4ドアショーファードリブンを運転しているような気にさえさせてくれる。

  ボーラーシリーズ全般に言える事は、いい意味でのルーズというか、極限まで引き締め切らないドライビングフィールを持つという事。少々ふわつきがちな足回りはラグジュアリーな乗り心地を提案し、生まれるゆとりは悪路での走破性に対し最もシンプルに働きかけるメソッドである。

  強大な力を持つ者がちょっとした動作を行うことのいかに容易いことか。必要十分なパワーだけを、ひけらかさず謙虚に携えてスムーズに路面をなぞる様は正に紳士のそれである。後席の客人はこの車が反重力による浮遊ではなくタイヤで走っている事が信じられないのではないだろうか。

  だがしかし、アクセルを踏み込み、アグレッシブなハンドリングを仕掛ければ、その紳士めいた足回りはリアルタイムでみるみるうちにスパルタンに引き締まっていくのを感じる。

   ロングクルーズ、街乗り、スポーツ走行を手広くカバーできてしまうオートモードは、まさにガリバンターのドライブアシスト研究の集大成ではないだろうか。  

  さて、お待ちかねのダイナミックモードである。

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  ボタンひとつで切り替え完了(まったく、すごい時代だ)。停車中はどこが変わったかなどひとつもわからない。某タクシー映画のように車体が持ち上がって隠されたスリックタイヤが現れたり、エアロパーツが変形したりもしない。

  だが、発進すれば全てがわかる──

  明らかにオートモードとは違う、瞬発的な加速。──だが、タイヤがスキールしたり、車体の体幹がブレた感覚は無い。ドライバーも車体も、真っ直ぐ前を向いている。エアサスペンションも後方につんのめる車体を感知し、水平に保たれるようにコントロールしている。

  ボーラースポーツLEは全身が電子制御されたいわばサイボーグモンスターのような物で、ダイナミックモードだとそれが更に顕著になる。リアルタイムで各輪のトラクションをコントロールし、最良のパワー配分を瞬時に反映させる。

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  ダイナミックモードでの0-100km/hがわずか4.7秒、最高速度はリミッター付きで260km/hだとの発表だが、それが決して誇張されていない事は確実である。

  事実、各メーカーのテストランのメッカであるニュルブルクリンク北コースによる発売直前のタイムアタックで8分14秒という記録を叩き出した。オセロット社のリンクスが8分10秒だというから、その驚異的なパフォーマンスがどれ程のものかわかるだろう。f:id:LsCarLife:20181204021714j:image

  8速のオートマチックトランスミッションもまた秀逸な出来で、従来のものより変速にかかる時間が50%短縮されているという。手元のパドルシフトによるシフト操作も可能で、その瞬間的に完結される変速に驚かされる。いち早く神経をシフト操作からハンドリングに集中させることが出来るという点で、安全な運転にとってもひとつの大きなメリットなのだ。

  

  SUVなのに舗装路ばかり走るために生まれたの?

  まさか。
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  すっかり雨も上がったので予定通りオフロードに繰り出す。オフロードでこそダイナミックモードの真価が発揮されるのである。 
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  用意されたコースは間伐業者御用達、パレト・ベイ南の登りの未舗装路。土成分が多く、多くの車両が行き来するため深い轍が目立つ。

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  低く見える(実際低いのだけれど)車高であるが、走っているとそんな風には感じない。足回りも前後とも独立懸架でしかもエアサスペンション。

  ──そうか。オフロードを走っているとコンピューターが感知して、まるでエアサスペンションが前後とも車軸式であるかのように動いているんだ!右輪が持ち上がれば左輪を下に押し付けてトラクションを稼ぐ。独立懸架サスペンション車でオフロードを走った時特有のあのパワーがきちんと路面に伝わってない感覚が一切無いのである。

  なんだろう、「怖い」とすら思ってしまった。f:id:LsCarLife:20181204024519j:image

 

総評

  さて、昨今の高級SUVブームに疑問を感じている読者は多いのではないだろうか?(筆者もその1人である)

  このサイトでも何度か書いたが、高級SUVブームにはきちんと理由がある。高品質で、よく走り、車内が広く乗員も荷物もたくさん乗り、車高が高く見通しがきき、場合によっては悪路も走れる。こう考えてみると、むしろ高級セダンが勝っている点が無いとすら言えてしまう。また、ミニバンよりも多くがスタイリッシュで高級感があるのも大きいだろう。

  ただ、SUVが高級車市場からセダンの分のパイを全て奪いきる時代はまだしばらくは来ないのでは無いかというのがカージャーナリスト及び自動車業界内での認識であるという。ユーザー間での「高級車=セダン」という認識は未だ根強く、車格やビジュアル面でのキャラクターは替えのきかないモノであるため、デザインの変遷によりセダンとSUVの垣根が無くなる、あるいはユーザー側がそもそもカテゴリーに対する興味を失う世界になればまた話は別だろうが(そんな世界はディストピア以外の何物でもないが)。

  その高性能ぶりはセダンはおろかスポーツカーにすら危機感を感じさせる程で、それにより受けた刺激はブランドを活性化させ、よりよいクルマ造りへの礎となろうとも言える。

  言わばクロスオーバーSUVは「全方位型高級車」としての地位を確固たるものにしたのであるが、その中心は70年代からすでにその前提で作られたボーラーシリーズであることに異論はないだろう。オン/オフロード走行性能と走りとラグジュアリー感を高い次元でまとめ上げた稀代の傑作を実に半世紀近く作り続けるガリバンター社に最大限の敬意を表したい。

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Vol.16 アメリカ車改革の狂言回し -1978 Imponte Ruiner "Phoenix"-

インポンテ ルイナー フェニックス

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今は亡き名ブランド“インポンテ”

  インポンテというメーカーをご存知だろうか(ここの読者はほとんど知っているだろうが。)?1926年に創立され、北米最大手自動車メーカー・デクラスとのグループ提携を経て、若者向けの安価でスポーティな車を精力的に世に送り出し続け2010年にデクラス社の経営不振により消滅したメーカーである。

  その企業コンセプトはまさにポニーカーメーカーそのものであり、あまり値が張らず、かっこよく、性能も高いという若者が最も愛車に求める要望を重視した商品展開が特徴。デクラス社は共にグループ提携先であるアルバニー社をグループ内での最高位メーカーと位置付け、それと対照的に若年層の顧客を取り込むブランドとしてインポンテ社を位置付けたわけである。

  デクラス社は様々な車種のプラットフォームをインポンテ社に提供し、それらはインポンテ社によって味付けされ、ひと味違う仕様を持つ姉妹車として市場に登場した。その中でも特に人気を博したのが、既にデクラス社で絶大な人気を博していた小型スポーティクーペ「ヴィゲーロ」の姉妹車「ルイナー」である。
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↑[初代ルイナー。フェイスリフト以外は概ねヴィゲーロのそれであるが、装備の多少の簡略化や標準でのマニュアルトランスミッション搭載によって価格を抑え、若者でも手が届く存在だった。]

 

 今回紹介するのはその2代目にあたる代から誕生した、ストックカーレース参戦を念頭に置いて開発されたハイパフォーマンスパッケージ“フェニックス”の78年製モデルである。

 


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基本的なスペック

ボディタイプ:2ドアクーペ

駆動方式:FR

乗車定員:4名

エンジン:305cuin V8 OHV(180ps), Declasse 400cuin V8 OHV(205ps), Imponte 403cuin V8 OHV(220ps)

変速機:3速AT/4速MT

サスペンション:前 ダブルウィッシュボーン、後 リジットアクスル

ホイールベース:2,750mm

全長:5,005mm

全幅:1,870mm

 

ヨーロピアンデザインの先駆け

  当サイトではこれまで多くの古き良き国産車を紹介してきたが、ルイナーフェニックス(以下フェニックス)ほど熱烈なファンがいる車もそうそういない。1967年に生まれ1971年にこの代にフルモデルチェンジし、1982年に3代目にフルモデルチェンジするまでにかなり頻繁なマイナーチェンジを繰り返している。用意されたエンジンはのべ14種類にものぼり、フェイスリフトも5回に渡り大幅な変更を経、その一つひとつに熱心なファンがついている。

 その中でも特に有名なのは、他のマッスルカーと一線を画すシャープなフォルムに強烈なゴールドのストライプが眩しいこの1978年モデルであろう。

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  このモデル自体はその強烈なルックスに反してカタログ上のスペックはかなり控えめである。2代目フェニックス初期の1971〜74年製モデルは最大で455cuin(7.5ℓ)のエンジンを選択でき、そのパワーは570psにまで達し、自他ともに認める最強のピュア・マッスルカーとして国内のストックカーレースで暴れ回っていた。

  しかし他のマッスルカー達がそうであったように、当然のごとくオイルショック&不景気の影響をもろに受け、74年以降は100psの直列6気筒エンジンすらカタログに並ぶようになる。かつての「フェニックス」の名に恥じない派手で豪快な走りの面影は無く、「死にかけの不死鳥」などと揶揄されることもあった。

  

 しかし、時代の流れに簡単に飲み込まれることを誰よりも望まなかったのが“レース屋”であるインポンテ社の開発チーム自身である。

 チームはまず、従来の肉厚なボディにスパルタンなスタイルを重視したコークボトルボディ、バッサリとソウドオフされたように切り立ったフェイスリフトを捨て、デザインの理想をヨーロッパのスポーツカーに当てはめた。

  全高がぐっと低く抑えられ、空力を重視した流線形のボディに実用的なエアロパーツ、シャープなノーズを持つフェイス。ベースとなるデクラスのヴィゲーロのプラットフォームと、当時のアメリカのコロコロ変わる自動車保安基準ギリギリを攻めに攻め、出来うる限りのヨーロピアンデザインを落とし込み誕生した78年製フェニックスは、発表と同時にアメリカ自動車業界に衝撃を走らせる。f:id:LsCarLife:20180930041512j:imagef:id:LsCarLife:20180930043021j:image

↑[楔型に突出したフロントグリル・通称「イーグルマスク」は空力に多大な好影響を及ぼし、従来の切り立ったフェイスを過去のものとした。また保安基準により装着を義務化された所謂「5マイルバンパー」も違和感なくエアロパーツの一部として馴染んでいる。]

 

  それまでの国産車よりもうんと薄手に仕立てられたフロントカウルはエアインテークの配置を工夫し生まれたもので、従来と違い下向きに傾けて配置されている。現代のスポーツカー等では極当たり前のように採用されている配置だが、当時は吸気効率や冷却効率の面から採用される例は少なかった。

 フロントウィンドウの角度も64°とかなり寝ており、1,300mm弱の低い全高と相まって、まるでグロッティ等のスーパースポーツに乗っているような感覚をオーナーに味わせた。


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 それまであまり重要視されていなかったエアロパーツ類もふんだんに採り入れられており、特に車体下部に空気が流れ込み車体が押し上がることを防ぐ、前後輪のフェンダー前部にある特徴的なカナードは見る者に衝撃を与えた。巨大なダックテールフィンも、あくまでアクセサリーとして装着されていた他のモデルとは違い、きちんと空気力学に基づいた実戦向けの装備である。

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↑[5スポークのマグナムホイールが主流の時代に、欧州ツーリングカーさながらのゴールドのメッシュホイールはかなり目立った。手入れはその分大変だが…]

  限界までトップ部を車体前方向に配置されたファストバックスタイルのリアウインドウ部は、当初2シーターを予定されていたためである。しかし当時のデクラス社のフラッグシップモデルのスーパースポーツ「コケット」が2シーターであり、競合することを懸念したデクラス社によりリアシートの設置を指示された事による名残である。要するにリアシートは使い物にならないほど居住性が悪い。一応大人ふたりが両膝が耳に着くほど足を曲げれば座ることができる(その二人はとても仲良しである必要があるが)。
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↑[外から見てこの車が4人乗りだと思う人はどれくらいいるのだろうか?]

 


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 エンジンのカタログ展開がやや特殊であり、305か403のV8以外にも、サンアンドレアス州及び高地仕様に、インポンテ社製のものより圧縮比が高く、トルクバンドの扱いやすいデクラス社製4バレルキャブレター付400cuin(6.6ℓ)エンジンが用意された。この車は産まれてすぐサンアンドレアスのディーラーに並んだため、当然その400cuin V8が搭載されている。キャブレター直結の大型のエアインテーク・通称「ラムエア」が豪快にボンネットを突き破り配置されている。(吸入口が前ではなく後ろにあるのは、空気力学において最も車体前部で風圧が高くなるのがフロントウインドウとボンネットの間であるためである。)

  その見た目からいかにもとんでもないエンジンが載せられているような印象を持つ。

──事実、これらのエンジンはあくまでデチューンされたものであり、セットアップといくつかのパーツを替えるだけでいとも簡単にレース仕様の500ps以上のパワーを取り戻させることができる。インポンテ社の時代へ対する全力の抵抗なのだろう…f:id:LsCarLife:20180930045517j:image

↑[大袈裟なほど上向きのエキゾーストは当時からしても時代遅れのものだった。排気ガスは敵だという世論が漂い始めた頃はエキゾーストを隠すか、下に向けるデザインが流行ったものだ。]

 

 

実際に乗ってみた

  実走に入る。フェニックスはハイパフォーマンスパッケージではあったものの無印のルイナーの何倍もの注目度があり、78年製だけで19万台近く生産されている。しかし、インポンテブランドの消滅を迎え既に8年、オーナーの多くは予備パーツの不足を実感することが増えてきたという。特にサンアンドレアス他高地向けディーラー車にのみ搭載されていたデクラス製400cuinエンジンはタマ数自体が少ないため、他の車種に載っている同一の物を探し当てる知識も必要になってくる。

 


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 今回の取材車はそのインパクトあるゴールドのストライプに加え、オプション装備であったTバールーフを備えた豪華仕様だ。f:id:LsCarLife:20180930104845j:image

  ルーフの中央部を除く左右のほとんどが透明なグラスルーフになっており、取り外すことも出来る。俗に言うコンバーチブルと違い、ボディ剛性を確保できる反面、車体重量の増加を招くため現代の車にはほとんど採用されていないこの時代特有のモノだ。f:id:LsCarLife:20180930154133j:image

  分厚く長いドアを開け、車内へ。

  内装はレーシーなビニールレザー製バケットシートに、センターにエンブレムの光る同じくビニールレザー製3スポークのステアリング。姉妹車のヴィゲーロはオプション装備としてバケットシートを用意していたが、フェニックスはバケットシート以外を選択することはできない。座り心地は悪くないが、(経年劣化もあるだろうが)かなりクッションが固めな印象がある。特に背面はかなりソリッドで、しっかりとホールドされている感触。

 

 エンジン始動。


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  車体全体を微かに揺らす程のサイクルがボンネット下で激しく繰り広げられる。当時殆どのライバル車がオートマチックを採用していた中、あえてマニュアルでレーシーさを狙ったフェニックス。クラッチは重く、シビアで踏むのを躊躇われるほど。「お前らのはアクセルとブレーキだけか?俺はこんなムズカシイ車を平気で乗り回せるのさ」なんて、当時の若者には充分すぎるステータスだろう。


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  走行場所が郊外の山間部であったため、この車のひと癖ある乗り味にコテンパンにやられたのは言うまでもなく、何よりアクセルワークに気を遣う。200psなんてのはよそ行きのカタログ上での数値でしかなく、このエンジンはその気になればいとも簡単にレース仕様と同じパワーを吐き出すシロモノだ。あっという間にレッドゾーンに突入するタコメーターの針、慌ててクラッチを蹴るも上手く繋がらずあたふた。

   数回前に取材したBF ラプターは最初の恐怖心を克服すれば最高に楽しい乗り物になったが、この車はどうか?早いとこ慣れなければ。

  

 散々空力に特化したエアロパーツがどうのこうのという話をしてきたが、それはあくまで当時の基準での話であり、現代の基準から見ると全くもってコーナリング性能に秀でているわけではない。何より車重がかなり重く、ピーキーなトルクは些細なコーナーでも時折ヒヤリとさせてくれる。顔色を伺うようにギアチェンジをする事には少しばかり慣れてきたが、減速→シフトダウン→コーナリング→加速の一連の動作のテンポ(特にクラッチ)が狂うと、たちまちリアバンパーがフロントバンパーを追い越そうとしてくる。この代から姉であるヴィゲーロにレースで歯が立たなくなったと言うが、コーナーの多いサーキットでは遥かに身軽なヴィゲーロに軍配が上がるのは当然だと感じた。f:id:LsCarLife:20180930170539j:image

 

  フィールドをハイウェイに移そう。

  フェニックスの尽きることの無いトレードマークの一つにラムエアエンジンが挙げられる。ラムエアとは航空機由来の技術をインポンテ社が自動車に取り入れ商標化したもので、その仕組みは極めてシンプル。車体前部やボンネット上に設置された吸入口が走行中に正面から吹き付ける空気を吸い込み、エンジン熱で加熱される前にキャブレターに直接大量の酸素を吸い込ませるいうモノである。

  つまりは車体が速く前進すればする程に効率良くエンジンが吸気する事になり、事実上はエンジンの許容範囲内であれば無尽蔵にパワーを上げることができる。f:id:LsCarLife:20180930175824j:image

───最も、性能の限界を突き詰めるには排熱や耐久性の面で分厚い障壁があり、また根本的に航空機の様にある程度の速度で走り続けなければ満足な効果は得られないため、ある意味アイコンとしての存在価値が大きいと言える。ただ、長時間安定した速度で走り、突発的にハイパワーを発揮するシーンのある使い道…例えばサーキットで行われるレースに使用されるペースカーや、高速パトロールカー等のベースにはかなり持ってこいなシステムなため、実際によく採用されていた。


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  ハイウェイでの走りは安定の一言。1,900mm弱の横幅に対してホイールベースが長く、直進安定性に優れている。適度に引き締められた足回りはギャップで無駄に跳ねることは無いが、かといってコーナリングでしっかり踏ん張る程でもない微妙な味付け。極端なプロ意識を持たないところがポニーカーらしくて好きだ。

  4速3,500rpm前後での高速クルージングがなんとも心地よい。古い国産車はみな街中をゆったり流すのに適しているモノが多かった印象だが、フェニックスは完全にハイウェイ向けだ。粒の粗いエキゾースト音は大きいものの不快な物ではなく、これぞマッスルカー!といった心地よいサウンド

   ただ、この年代製国産車の例に漏れず熱関係のトラブルと常に隣り合わせであり、ルイナーはそのフェイスリフトが故に特に気を遣う。従来の切り立ったフェイスとは違いエアインテークをフロント下部に斜めに配置しているのだが、従来のような正面に垂直に配置されているものよりも吸気効率に難があり、エアダムが破損しようものならどれだけ飛ばしても一向にエンジンが冷えない悪夢が待っている。そうでなくても炎天下のもと渋滞にでも巻き込まれたらひとたまりもない。

   だがそのトルク感と重量感のバランスはアクセルを踏み続けたくなるような爽快感に溢れている。

    地平線まで続くハイウェイを、ルーフを外して風を浴びながら突き進んで行くなら、この車しかない。

   パーキングエリアに寄ってエンジンと頭を冷やしつつ、のんびりとどこまでも行こう。

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総評

  さて、これまでこのサイトでは様々な古い国産車を紹介してきたが、ルイナーフェニックスはその中でも特筆してアメリカ自動車史における狂言回し的存在だと感じた。自動車は大きく分けると北米、日本、欧州の3地域でそれぞれに特徴ある発展の仕方を遂げ、特に気候も国土も大きく異なる欧州市場と北米市場は2000年代に突入して以降も互いにコンセプトの大きく違う存在として影響し合うことを暗黙的に避けていた傾向があると感じる。

  しかし、実に40年も前に生まれたマッスルカーが率先的に欧州製スポーツカーのテイストを取り込み、数々の制約に縛られながらそれをアメリカ自動車業界にマッチするよう落とし込んだ功績はあまりにも偉大だ。事実、この代のルイナー以降の国産2ドアクーペは一斉にヨーロピアンテイストの流線形デザインに傾倒していき、2005年製ヴァピッド ドミネーターによるリバイバルデザイン勃興までその形態が続くことになる。

  ちなみに1979年の最後のマイナーチェンジを経てフェニックスにはターボエンジンが採用されるが、国内でのターボ搭載もかなり先駆けたものであった。

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↑[1982年製の3代目フェニックス。風洞実験による空力特化のシャープなフォルムに305cuinターボ付V8搭載で、“ターボバード”の愛称で呼ばれた。]

   

   “若者向けブランド”の象徴であったインポンテ社はその挑戦的な開発姿勢も血気盛んな若者そのもののようなメーカーであった。胴元のデクラス社に口出しされ、保安基準に縛られ、環境保護団体から叩かれながらもリスクを恐れず率先して様々なアイデアを採り入れ生み出されたそのエネルギー溢れる名車たちは、いつの時代もアメリカ自動車業界に影響を与え続けた。

   最後まで刺激的なラインナップを市場に投入し続けたインポンテ社は、絶え間なく移ろい続ける世界情勢に無残に飲み込まれ、2010年にデクラス社よりブランド消滅を発表されその84年もの歴史に幕を閉じる。

   恐らくこんなメーカーはもう現れない。自動車開発に対するパッショナブルな姿勢を持った素晴らしいインポンテ社の存在を、アメリカ、否世界中の自動車メーカーは決して忘れてはならない。


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Vol.15 21世紀マッスルカー論 -2015 Vapid Dominater 50th Anniversary "GTX"-

ヴァピッド ドミネーター GTXf:id:LsCarLife:20180818162556j:image

50年目の大進化

  「最もアメリカを象徴する車」と言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか?恐らく新しめの車の名前はポンポンとは上がらないだろう。はっきりいって落ち目の現在のアメリカ車市場、名前が挙がるのはきっと1950〜1975年あたりの黄金時代の車たちではないかと思う。

 その中で一際魅力的なカテゴリーに「マッスルカー」というものがある。大衆向けのスポーティな中型クーペにハイパワーなV8エンジンを搭載した、世界でもアメリカにしか存在しない唯一無二の存在。そのマッスルカーの起源となる、大衆向けのスポーティな中型クーペ「ポニーカー」のカテゴリーを生み出した車がヴァピッド ドミネーターである。

 今回紹介するモデルは、2015年に生誕50周年を記念し450台限定で発売された、初代ドミネーターのスポーツモデルであった「ドミネーターGTX」の名を冠したハイパフォーマンスモデル「ヴァピッド ドミネーター 50thアニバーサリーエディション“GTX”」である。

 50年以上の歴史を持つヴァピッド社の看板モデル・ドミネーターの沿革をなぞりながら、21世紀におけるマッスルカーのあり方を説いていきたい。


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基本的なスペック

販売期間:2015年

乗車定員:2名

エンジン:5.0ℓ SOHC V8

駆動方式:FR

変速機:6速オートマチック

サスペンション:前 マクファーソンストラット 後 インテグラルリンク式

ホイールベース:2,720mm

全長:4,783mm

全幅:2,080mm

車体重量1,690kg

 

元祖マッスルカー

  上述した通り、ドミネーターの歴史は50年以上と、自動車史においてもかなり長く、初代は1965年に誕生した。当時、第二次大戦後生まれの若者たち(いわゆるベビーブーマー)が運転免許を取得する時期を迎えていた。全世代中最大の車の需要が生まれた若者世代、このビジネスチャンスをモノにするべく、各メーカーは最も若者が欲しがる車を市場に送り込む必要に迫られた。

──若者が欲しがる車とは?運転しやすいサイズで、スポーティで、なにより安価なクーペであろう。

  どのメーカーよりも早く先陣を切ったのはヴァピッド社であり、その車こそがこの「ドミネーター」である。同社のコンパクトカー帯のプラットフォームやパーツを流用し、専用に開発されたパーツも極力抑え価格を大幅にセーブ。その上ロングノーズ・ショートデッキのスポーティなルックスと、ホットなV6/V8エンジンは、当時の若者の心を掴んで離さなかった。

  「フルチョイス」と呼ばれるカタログ展開も斬新で、装備を簡素化し本体価格を抑え、代わりにオプション装備を多数用意。購入者が必要なオプション装備をディーラーで選び、自分好みのドミネーターを作り上げる事ができた。この戦略は大成功を収め、Dominater(支配者)の名の通りクーペ市場を一世代で支配。一躍アメリカを代表する車となる。

  これに続きデクラス社、インポンテ社、ブラヴァド社が続々と同じコンセプトの車を市場に送り込み、それらは大衆にポニーカーと呼ばれた。「ポニーカー」とは、乗馬を始めたばかりの子供がまず最初に乗ることになるポニー(子馬)を、免許を取りたての若者が最初に乗る車になぞらえた言葉である(また、「小型なのにスポーティ」という印象を与える効果もあった)。

 その後の1967年に、それまでのドミネーターのラインナップにファストバックスタイルにハイパフォーマンスなチューニングが施されたモデル「GTX」が加わる。その安価さと不釣り合いな程のパワーはたちまちブームを巻き起こし、その後の「マッスルカー」というカテゴリーを生み出し、アメリカ国内外でのモータースポーツシーンで各メーカーが熾烈な戦いを繰り広げることになる。

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↑[初代ドミネーターのスポーツモデル「GTX」。ファストバックのスタイルに走るストライプがレーシーな印象を与え、爆発的な人気を得た。後のマッスルカー全ての手本となる。]

 

“リビングレジェンド”ブーム

  さて、ドミネーターはその50年以上の歴史の中でフルモデルチェンジを繰り返し、現行モデルで7代目であるが、当時戦いを繰り広げたライバル社たちの同世代の長寿モデルの中でもかなり紆余曲折を経ている。

  まず2代目はパワフルかつよりハイパフォーマンスに進化するが、3代目の頃にオイルショック&不景気に直撃。ダウンサイジングとエンジンのパワーダウン、新たに設けられた安全基準による不格好なバンパー…何とも野暮ったいデザインとパッとしない走行性能により、市場での大幅な失速を強いられる。

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↑[3代目ドミネーター。生まれる時代が悪く、100ps程度の単なる面白味のない中型クーペと成り果てる。]

 

  4代目ではより小型化が顕著になり、その上不幸にも開発主導者と経営者との対立が深まったタイミングと重なってしまい、コンセプトがグラついた末の難産となる。ついに標準エンジンは直列4気筒、ボディ全長は4.5mを割り、初代の威厳は欠片も残っていない。しかし、スポーティなコンパクトカーがウケ始めていた市場にはそこそこの好評を得、賛否両論ありながらもシリーズ中最長の14年間に渡り販売された。
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↑[4代目ドミネーター。ほとんどマッスルカーとしての面影は残っていないが、ヴァピッド社としては初めてのターボチャージャー搭載の直列4気筒エンジンが採用された。コンパクトなスポーツカーを求めた当時の若者から人気を得た点は初代と同じと言えるか。]

 

しかし再び大型化し、ハイパワーエンジンが搭載された5台目からマッスルカーとしての姿を取り戻し、ついに6代目に大きな転換期を迎える。

 

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  画像は初代ドミネーターのホモロゲーションモデル「ドミネーターGT450“エリー”」のリバイバルモデル。ヘッドライト横の後付けインテークやダックテイルスポイラー、450cuiV8エンジン等隅々まで初代の仕様を継承している。

 ご覧の通り、かなり初代を意識したデザインであることは誰の目にも明らかであろう。これは2005年当時のヴァピッド社が掲げた「リビングレジェンド戦略」の賜物で、本来1975年には死に絶えたと言っても過言ではないマッスルカーを、あえて当時のテイストを残したデザインにする事で、かつての栄光をオーナーたちに提供するという試みである。かつてのフィールをできる限り残し、そして進化させ、前時代的と言っても過言ではない存在のマッスルカーを現代の市場に送り込み続けるというある意味でかなり挑戦的なマーケティング。それを続ける上での外せない要素…

…オーナー達がマッスルカーに乗り続ける理由──当時の忘れられないエキサイティングなドライブフィール体験と、その記憶に残るアグレッシブなルックスだろう。純粋なマッスルカーが消費者たちの前から姿を消して40年、そのクラシカルとモダニズムが高い次元で融合した6代目ドミネーターは、驚きと賞賛を持って迎え入れられ、初代と肩を並べる程のヒットを記録した。

 また、初代の「フルチョイス」も踏襲し、ベースモデルは3.7ℓV6で$25,000程度の本体価格で用意され、膨大な量のオプション装備やリミテッドエディションを用意。エンジンは6種類に渡り、ブレーキ、ホイール、内装やエアロパーツ、オーディオシステムに至るまでオーナーは自分好みのドミネーターを作り上げることが出来た。

 これに続けと、当時のライバル車を製造していた他メーカーたちもこぞってマッスルカーをリバイバルする。

 同じく現在までモデルチェンジを繰り返しながら長らく製造され続けている、デクラス社製マッスルカー・ヴィゲーロも当時を意識したデザインに生まれ変わり、ブラヴァド社も当時のハイパワーマッスルカー「バッファロー」の名を20年振りに冠したハイパフォーマンス4ドアスポーツサルーンを発売した。アメリカ車業界に「リビングレジェンド」ブームが到来したのである。

 

伝統と進化

  随分と前置きが長くなってしまった。話をこの車に戻そう。

  7代目のドミネーターは、6代目のネオクラシカル路線を当然継承しているが、デザインはよりスタイリッシュでハイエンドカー寄りになり、走行性能や安全性も大幅にグレードアップされている。

  また、ラインナップに新たに直列4気筒+エコブーストのモデルも登場。4気筒と侮るなかれ、エコブーストの力を受けたエンジンは最大で314psを絞り出す。

  それまで時代に逆行し、当時の車の乗り味を再現するためにリアサスペンションに採用されていたリジットアクスルは、ウーバーマフトが採用している事で有名なインテグラルリンク式の独立サスペンションに変更。「速く走らせるには、過去にマッスルカーに乗っていた経験が必要」とまで言われた先代の荒削りな走りを捨て、高い運動性能を得ることが重視されているようだ。

 

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 GTXは、限定生産のハイパフォーマンスモデルという位置づけであるため、その装備はかなり豪華だ。標準モデルよりもボディ剛性は強化され、ボディの内外や専用のホイールにはカーボン素材をふんだんに使用、リアには大型のディフューザーまで取り付けられている。

 

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  420psを発生する5.0ℓSOHC V8エンジンは、現代の車とは思えない程に無骨なエンジンルームに収められており、標準でタワーバーを装備。ボディ剛性の強化が図られている。

 また大型のヘッダースを装着するため、センターが大きく隆起したボンネットも当時のマッスルカーたちを彷彿とさせる。

 

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 テールライト周りが黒いパネルであることも初代と同様。ただランプ自体はかなり先進的なデザインをしており、ウインカー、ライト、バックライトが奇抜な形状で配置されている。また追突された場合のドライバー保護の観点から、リアバンパーは後方になだらかに突出している。

 

実際に乗ってみた

  いよいよ実走に取り掛かる。ドアを開け、例に漏れず内装からじっくり紹介していこう。

  まず目に飛び込んで来るのは、そのあまりにもスポーツカー然としたアシンメトリーダッシュボードである。f:id:LsCarLife:20180824154704j:imagef:id:LsCarLife:20180824155257j:image

  人間工学に基づいた、無駄のない曲線を基調としたスタイリッシュなデザインは、ドライバーの心を確実に昂らせてくる。レザー製ダッシュボードのステッチはボディカラーと同色。オートマチックだがステアリングにはパドルシフトが用意されているのも近年の流行を採り入れている。


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 シートもかなり先進的なデザインをしているが、柔らか過ぎず適度なホールド感があり、確実な実用性を併せ持っていると感じた。長距離ドライブが当たり前のアメリカでは、長時間座っていてもストレスを感じないシートが求められるが、ドミネーターはかなりレベルが高いと思う。

  またGTXはドミネーターのラインナップで初めて2シーターを採用しており、走りへの姿勢が本物であることを伺わせている。

いざ公道へ。


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 低速ではV8特有のゴロゴロという音を響かせるが、多くのマッスルカーが採用していたOHVエンジンと違いSOHCであるため、アメリカンというよりもベネファクターのV8モデルのようなサウンドに近い。f:id:LsCarLife:20180825005109j:image

  加速していく。電子制御6速オートマチックは、ダイレクト感のある極めて俊敏な変速フィール。ステアリングに備え付けられたパドルシフトを使えば、好きなタイミングでシフトダウンし、瞬発的な急加速を味わうこともできる。シートに両肩を押し付けられるような急激なトルク感という、マッスルカーの醍醐味を今現在でも現行モデルで体感できるのは嬉しい限りだ。

 今や600ps越えは当たり前のハイパフォーマンスカー界隈、420psと少々抑え目な数値に見えるが、この車の味付けはあえて暴れ気味に設定されていると感じる。深くアクセルを踏み込めばV8の本気が目を覚まし、他の車では感じることのない独特なパワー感を感じさせてくれる。コンピューター制御も比較的抑え目なようで、その気になればテールスライドもできてしまえるだろう。

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  ボンネット周辺が肉厚なため、ドライバーズビューに不安があったが、乗ってみるとその心配は無用であったことがわかる。先代よりもルーフが50mm近く低くなった分、シートレイアウトも見直され、少しばかり後方へ移動。結果視界はより良くなったとの評価を得ているという。

  確かに、フロントウインドウの圧迫感はほとんど感じられず、他社のスポーツカーよりも視界にストレスを感じない。


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  何より特筆すべきは大幅にグレードアップされたコーナリング性能に尽きる。以前の仕事で先代のドミネーターに乗ることは多々あったが、明らかな進化を全身で感じることができた。

  新たに採用されたインテグラルリンク式リアサスペンションは、単なる独立式サスペンションではない。二重防振マウントを介してボディに装着されたアルミ製サブフレームと5本のサスペンションアーム。縦横前後をメイン・サブフレームで分担することによるその機構は、乗り心地を犠牲にせず従来の独立式サスペンションと一線を画す直進安定性とハンドリングを持つ革新的なものである。この足回りをドミネーターは全グレードに装備。有り余るパワーを力ずくで抑えコーナーを辛うじて抜ける、そんな時代はマッスルカーにとってももう終わりなのだろう。

  自分の意思の通りに車体は向きを変え、路面の凹凸をスムーズにいなし、アクセルを踏み込んでもテールをぶんぶん振り回すことは無い。人によっては物足りなさを感じるかもしれないが…

 

総評

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  さて、冒頭に「現代におけるマッスルカーのあり方とは」と前置きしたが、1965〜75年当初のモノと現代のマッスルカーでは全くの別物であることをわかって頂きたい。当初のような、プラットフォームやパーツは流用品で、ボディだけが別物のポニーカーをチューニングしたある意味で質の低いスポーツカーの猿真似でしかなかった存在には留まっておらず、専用シャーシに専用のパーツがほとんどを占める現代のマッスルカーは、価格も決して安くはない。それなのに何故、マッスルカーを求めるユーザーは後を絶たないのだろうか?

  電子制御やハイブリッドシステム等、車を極めて安全で、静かで、それでいてパワフルにすることなどやぶさかでない現代の自動車産業界において、有り余る馬力を持つ騒々しいエンジンを重いボディに載せた荒削りな車をわざわざ造る意味とは?

  答えは乗ってみれば全てわかるはずだ。アメリカで生まれアメリカで育まれたその奇妙なコンセプトの車は、スポーツカーでも普通乗用車でも無い不思議な存在であるが、1度触れた者を絶対に離さない恐ろしい程の魅力を持っている。オーナーは皆その魅力に頭までどっぷり浸かり、プロのレーサーですらフルの力を発揮させるのが難しい暴れ馬を、残りの生涯をかけて乗りこなす為に生きる事を選ぶだろう。それに応えるように、かつてマッスルカーの栄光を築き上げたメーカーたちは、今現在までマッスルカーを作り続けているのだろう。

  かつてのマッスルカー程ではないが、現行のV8ドミネーターは程度のいい新古車でも4万ドルほどの価格で取引されており、同等のスペックを持つ欧州製スポーツカーよりも手が届きやすい。電子制御と安全装備で、限りなく安全に手に入るマッスルカー体験。あなたもこの機会に如何だろうか。

 


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Vol.14 究極のスーパースポーツ 1993 Progen GP1

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プロジェン GP1

昔のスーパーカーといえばどんなイメージがあるだろうか。
実用性がない。居住性が悪い。操縦性が悪い。スペックだけで実際は大した速さではない。
そんなイメージに真っ向から立ち向かった車がある。プロジェンGP1だ。

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基本的なスペック

販売期間:1993-98年

ボディタイプ:2ドアクーペ

エンジン:6.1L V12 DOHC

駆動方式:MR

車両重量:1140kg

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日常的なスーパースポーツ
先程も述べたようにスーパーカーと呼ばれる車は須らく実用性が犠牲となっていた。
馬力と速度は出るがその他全ての要素が自動車としてまるでなっていないような車がほとんどで、多くのスーパーカーは投機対象やコレクターズアイテムでしかなく、実際に走らせて楽しむには厳しい物があったのだ。
しかしGP1は違った。世界中のスポーツカー・スーパーカーを過去の物にする超高性能でありながら日々の買い物から本気のサーキット走行までこなすオールラウンダーだったのだ。

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従順な猛獣
元来スーパーカーというのは乗りこなすのが酷く難しい、人が車のご機嫌をとってやらないといけない乗り物だった。そんな車で思い切り 気持ちよく走ることが出来るかと問われれば、ほぼ100%の者が首を横に振るだろう。
では、GP1ならどうだろうか?乗った者はガソリンが尽きるまで走り回った後に口を揃えてこう言うだろう。
「もう1回満タンにしてくれ」と。
GP1の魅力は誰もをそう言わせる楽しさと乗りやすさにある。
1200キロに満たない車体に600仏馬力を越えるハイパワーエンジンを積むGP1は1トンあたり500仏馬力を越える強烈なスペックを持つがその操縦性は極めて素直でしなやか。適度な柔らかさを持たせつつも決してフワフワと不快な柔さを感じさせないバランスの取れた足回りと高剛性のカーボンモノコックによってロスサントス市内やフリーウェイの荒い舗装の凹凸を綺麗にいなし快適に走ることが出来るのだ。

その絶妙なセッティングはピッチング方向には適度なソフトさを持ち、快適な一方でロール方向はややハードというもの。しなやかな足回りに組み合わされた硬いスタビライザーによって車体のグラつきを抑え、浅いロールでタイヤを路面にしっかり繫ぎ止めるというレーシングカーらしいセッティングだ。

前後に柔らかく、左右に硬い。このセッティングが低速域での快適さと高速域での楽しさを両立するカギであることは言うまでもないが、その楽しさを知るためには"作法"を学ばなければならない。

レーシングカーを操るための"作法"だ。

GP1のハンドリングは誰もが酷いアンダーステアに感じるというがそれは力任せにステアリングと格闘しているからだ。荷重移動のコツを掴み四輪それぞれ荷重をしっかりコントロールしてやればやや重いステアリングは非常に頼もしく、あたかもレーシングカーのような、高速で自在にコーナーを駆け抜ける極めてレーシーなハンドリング体験を提供してくれる。

GP1は確かに"誰にでも乗れるスーパーカー"だが自在に操るにはレーシングカーを操るための"作法"を知らなければならないという意味では従順でありながらも非常に奥の深い車であると言えるだろう。

そして乗りこなし始めた頃には気付かされるはずだ。これ以上に優れたスポーツカーなど未だ存在しないことに。

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意外な一面

GP1はいかにもスーパーカーといったスペックとルックスでありながら優れたツアラーであるという意外な一面を持っている。

GP1のミッドに搭載される6.1Lもの排気量を持つウーバーマフト製V12エンジンは全域に渡ってトルクフル。ローギアから一気に300km/hまで加速することはもちろん、6速2000回転で延々とフリーウェイを流すことまでそつなくこなす優等生だ。

また、巨大なエンジンながらも比較的良好な燃費により、90Lの燃料タンクを満タンにすれば700キロもの道のりを軽々走破することができてしまう。

驚くべきことに、これはたった1回の給油で余裕を持ってロスサントスからサンフィエロ又はラスベンチュラスまで行って帰ってこれることを表す数値だ。世界最速のスーパーカーでありながら一般的なスポーツカーと変わらない燃費を持つのはエンジンがウーバーマフト製だからと言ってしまえばそこまでだがそれ以上に軽く、空気抵抗の少ない車体が効いているのかもしれない。

そしてその航続距離の長さを最大限に生かすのが人間工学に基づいたコックピットだ。

ドライバーの肩から下を包むフルバケットシートは24時間耐久に使われる物と同形状で、疲れ知らずの非常に快適なドライブを約束してくれるし、一般的な3点式シートベルトの代わりに備えられた4点式シートベルトは身体をしっかりとシートに固定してくれるから手足を踏ん張る必要もなく、万一の際にはドライバーをシートに留めてくれる。したがってGP1のコクピットにはフットレストエアバッグもない。

このようにGP1のコクピットは極めて自然体でドライブに集中できる環境になっている。言い換えればレーシングカーそのもののレイアウトでその恩恵を受けるには少々の慣れを要するとも言える。

しかし、一度慣れてしまえばあらゆる車が霞むほどの素晴らしいドライビング環境に身を委ね、何時間でも何百キロでも走ってしまえるような体験が待っている。

これがGP1が世界を広げる車と言われた所以であり、サーキット直系の技術が惜しみなく注ぎ込まれたGP1だからこその世界なのである。

 

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最後に

上述のようにGP1は決して格好だけのスーパーカーではなく、徹頭徹尾ドライバーズカーとして生まれた車だということがよくわかる。

筆者自身も多くのスポーツカーに乗ってきたがこれほどまでに素晴らしい車には未だ出会ったことはない。この記事によって筆舌に尽くしがたい魅力を持つ究極のドライバーズカーの魅力の一片でも伝わるのならば幸いだ。

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Vol.13 ポケット・フォーミュラカー -'96 BF Raptor 14R-

BF ラプター 14R
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 3輪の乗り物の魅力

少数派ではあるものの、3輪のオートバイ「トライク」は数多く存在する。トライクはバイクにも自動車にも無い独特の存在感があり、何物にも変えがたい魅力を持っている。バイクの爽快感を持ちながら車のように安定した走り心地。「中途半端だ」「そんなのは車/バイクで良いじゃないか」なんて意見は全く野暮な話であり、トライクにはトライクにしかない楽しみがあるのだ。

  今回ご紹介するのもそういった3輪の乗り物であるが───どうやら少し様子がおかしいようだ。

 

 

基本的なスペック

販売期間:1996年〜

乗車店員:2名

駆動方式:MR

エンジン:1.4ℓ 並列4気筒 197ps

変速機:6速シーケンシャル

サスペンション:前 ダブルウィッシュボーン 後 スイングアーム

全長:3,500mm

全幅:1,980mm

ホイールベース:2,285mm

車体重量:472kg


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名を“ラプター

  BF社は実に20年以上前からこの車を製造している。コンセプトは極めてシンプルで、「大型バイクのパワフルなエンジンを搭載した二人乗りの三輪車」というもの。驚くべきはそのフォルムで、空力を考慮した流線形のボディに前2輪後1輪という衝撃的なルックス。

  この車にラプター(小型の肉食恐竜)と名がついているのは何故か?単に見た目?俊敏に暴れ回って我々に襲いかかってくるから?

  とにかく、怖がらずに近づき、彼との対話を試みる。

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↑[顔付きはその名の通り小型の肉食恐竜といったもの。ライトの下部は大きくスキャロップされ、運転席側には「RAPTOR」のデカールが。ボディはFRP樹脂製。]

 この車は当初からBF社が開発を行ったものでは無い。カナダ人の元F1エンジニア、ダニエル・カンパーニャ氏がコンセプトを手がけた三輪自動車のアイデアを、BF社が協力関係となり実現させたものである。故にこの車は最先端のモータースポーツ・テクノロジーがふんだんに使われた小さなF1マシンなのである。

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  ↑[エンジンはシッツ社製大型スポーツバイク「ハクチョウ1400」の1400cc4気筒エンジンをミッドシップに搭載。足回りもそのままごっそり流用し、197psものパワーを幅295mmのリアタイヤが路面に伝える。]

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↑[クロームモリブデン製ロールケージがそのままボディ上半身の外装を担当。面積の小さな屋根は雨天ではほんの気休めにしかならない。シートは専用のバケットシートに4点式シートベルト。]f:id:LsCarLife:20180816062910j:image

↑[非常に簡素なインテリア。メーター周りもハクチョウ1400からの流用。ギアはハクチョウ用トランスミッションにリバースを追加したシーケンシャルシフト。]f:id:LsCarLife:20180816143119j:image

↑[カーボンパーツがふんだんに使われたサスペンション周りは、フロントヘビーになりすぎる事を考慮した結果。]

 

実際に乗ってみた

  正直、かなり怖い。今回協力してくれたBF北米代理店本部のDepoystaer氏に、「なるべくバイクウェアに近い上着と、厚手のドライビンググローブをお持ち頂くことをおすすめします。」とういう連絡を受けて、「一体どんな恐ろしい乗り物が待っているんだ?」と内心ビクビクしながらやって来たのだ。筆者も大型のオートバイを所有していた事はあるが、それはアメリカンタイプであったわけで、ラプターは200mph(320km/h)で走ることができる大排気量レーシングバイクのエンジンを積んだ乗り物である。いくら3輪とはいえ、上手く転がせる自信はない。

  待ち合わせ場所に向かうと、もうそこにはアイドリングを充分にし、いつでも飛びかかってくる用意のできたラプターが待っていた。体がジトっと汗ばむ感覚がする。


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  まずは担当者が運転し、筆者は助手席へ。簡単な操作説明を受け、「踏み込み過ぎないように」とだけ言われバトンタッチ。

  1400ccの大型バイク用エンジンが両足の間ではなく背中のすぐ後ろにあるため、アイドリング中でもかなりやかましい。クラッチはかなり軽いが、エンスト対策のためバイクの時よりもアイドリング時の回転数を上げてあるそう。

  次は筆者の番だ。

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  まず驚いたのが、その乗り心地である。一旦ステアリングを外し、バケットシートに腰を埋める。ほとんど寝そべるような形にポジションに収まった。気分はオセロット・スウィンガーのテストドライバー、ノーマン・デヴィスだ。

  ステアリングを再び装置。

  ──なんて心地の良いドライビングポジションなのだろうか。ペダルを基準に少々のリクライニング調整をすれば、自然に腕がステアリングを握り、足も無駄のない動きがすんなりできる距離感にペダルが配置されている。少々の恐怖を覚えるような寝そべる形の姿勢も、なんの違和感も無く体が馴染んでいき、長時間の走行でも嫌気がさすことは無さそうだ。設計者のF1エンジニア時代の経験が存分に活かされていると感じた。f:id:LsCarLife:20180816145733j:image

↑[ボブスレーにでも乗っているような視点の低さ。ドライビングポジションは格別に良いが、車通りの多い道では非常に怖い。]

 

  発進。言われた通り踏み込み過ぎないように慎重にペダルを煽る。用意されたコースはロックフォードを少し北上した車通りの少ない山間部の道路。体が慣れ始めた頃、最初の上り坂に早速遭遇する。

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  深く踏み込む。その瞬間、タコメーターの針は急激にレッドゾーン目掛け突っ走り、回転数は一気に7、8、9000回転。慌ててシフトを手前に引き3速。軽いクラッチが非常に爽快だ。

 上り坂を登っている感覚はほとんど無いに等しい。FRPとカーボンで極限まで絞られた、たった472kgの車体はまるでホバーで浮いているように傾斜をなぞっていく。f:id:LsCarLife:20180816153826j:image 

↑[剥き出しのフロントサスペンション部分は、運転席からもその構造や動きがリアルタイムで見える。メカ好きにはたまらない。]f:id:LsCarLife:20180816153938j:image

  ここにきてバイクウェアとグローブを用意するよう言われた意味を痛感した。屋根があるとはいえフロントウインドウは無く、また乗った者は上半身の左右どちらかの半分を車外に剥き出しにする事になる。つまり、自動車のようなシートにこそ座ってはいるが、ほとんどバイクに乗っている環境と変わらない条件を乗る人間に提示するのだ。f:id:LsCarLife:20180816154353j:image

↑[すぐそこに路面。手で触れる距離である。]
  曲がりくねる山道をスイスイとパスしていく。パワーステアリングでは無いが、ダブルウィッシュボーンの前輪サスペンションは路面のシェイプを上手くケアし、こちらのハンドリングにも素直に応えてくれる。ほぼバイクまんまの後輪も、300mm近い横幅とレンジの広いサスペンションは、路面の凹凸ときちんと分かりあい、決して跳ねたりしない。もしここがちゃんとしていない3輪の乗り物なら、瞬く間に路面の反抗を受けバランスを崩し、最悪斜め後ろ方向にひっくり返りかねない。

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  こちらのアクセルワークに100点で応えてくれるドライブトレイン。バイクと同じチェーン式とはいえレスポンスもシャープで、472kgの車体に載っていると考えれば余りにも凶悪なスペックである。0-60mphは3.9秒だというが、この乗り味で4秒足らずで60mphに達するなんて想像しただけで足がすくむ。

 しかし、パワーときちんと対話し、そのスマートなハンドリングに勇気を出して身を預けることができれば、こんなに楽しい乗り物はない。取材中は1時間半ほど乗っていたが、45分程かけ体を慣らし、互いに心を開きあった後はとにかく楽しかった。キャリパーがディスクを挟む音すら聞こえてくるほど剥き出しの運転席も、ほかの車にはないドライバーとマシンとの一体感を生み、シートに両肩を強く押し付けてくる風も心地よく感じられる。

 モンスターマシンがこちらの意思の通り体を動かし、手足のようにハンドリングできるようになったら最後、キーを担当者に返すのが嫌で仕方が無くなった。

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↑[大きな丸目4灯のテールランプは、左右端の2つはウィンカーで、ブレーキ用のハイマウントランプも装備。車体が低いため、後方車両への視認性を向上させている。]

総評

  小型の趣味用ビークルと言えば、本サイトで過去に紹介したカニス カラハリの例もあるように、昔からある程度一定した人気のあるカテゴリーである。後輪が単輪の二人乗り3輪自動車は1950〜70年代のヨーロッパ等でもそれなりに人気のある存在であった。が、それらとラプターは一線を画している。

   FRPとカーボンで極限まで軽量化し、フォーミュラカー然とした流線形のボディに197psの1400ccのバイク用エンジン。スポーツカーでもバイクでも味わえないその乗り味は、さながら“ラプター”という独立したカテゴリーだと言っても過言ではない。f:id:LsCarLife:20180816164804j:image

  ラプターは今や世界中にファンが存在し、今日もその走りでオーナーを楽しませている。制御するコンピューターの一切を装備せず、培われたF1での技術で走りを高い次元にまとめ上げたラプターこそが、真の意味での“ピュアスポーツカー”だと言えよう。

 


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Vol.12 小粒でもピリリと辛い? 1965 Lampadati Michelli GT

ランパダーティ ミッチェリGT

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かつて販売されていたイタリア製小型クーペ ミッチェリ。端正なクーペボディと小さなツインカムエンジンによる軽快な走りも相まって高い人気を呼んだ。

今回紹介するのはミッチェリの最強グレード"GT"だ。

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基本的なスペック


販売期間:1965-69年


ボディタイプ:2ドアクーペ

 

エンジン:1.6L Inline-4 DOHC "Twin spark"


駆動方式:FR


ホイールベース:2350mm


車両重量:750kg

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サルーンから派生したスポーツカー

ミッチェリは実に"イタリアらしい"車だ。

シンプルながらバランスが取れた美しいボディ、7500rpmまで回るツインカムエンジン、軽快なハンドリングを提供する足回り。とても大衆車とは思えないスポーティなメカニズムが奢られている。デビュー当初ミッチェリのラインナップに2ドアクーペはなく4ドアセダンのベルリーナのみの設定だったようだが生まれながらにそのメカニズムは正にスポーツカー。小型大衆車ながら高い走行性能を誇ったスーパーサルーンだった。

そんなスーパーサルーンをスポーツカーに仕立て直したのが2ドアモデルのミッチェリだ。

ベルリーナの基本的なメカニズムはそのままにクーペ仕様のシャシーを与えられた2ドアモデルは瞬く間に大ヒットとなると同時にレーシングカーとして注目されるようになった。

端正なボディ・過激なチューン

2ドアのミッチェリがレース場に現れ、活躍するようになるとランパダーティはミッチェリGTの名でレース向けの仕様を市場に送り出した。

ミッチェリGTの外見そのものは通常のミッチェリと何ら変わりのない、強いて言えば四角かったドアミラーが小さめの丸型の物に置き換えられた程度の違いしかなかった。

しかし、"GT"の過激さは外からは決して目に見えない部分に徹底して詰め込まれていた。

エンジンは1気筒あたり2本のスパークプラグを持つ"TSヘッド"── 4ドア版レースカーと同じシリンダーヘッド── への換装やエンジン各部にマグネシウム合金を採用するなど当時最先端のチューニングが施され、ボディ外板は全て軽量なアルミパネルへと置き換えられた。

こうした改良による2ドア通常モデル比300kgの軽量化と20psの出力向上が図られた結果、ミッチェリGTはまるで別物のような運動性能を手に入れることとなった。その最高速度は時速125マイルに達し、1.6L自然吸気エンジン搭載車としては当時抜群に速かったのは言うまでもないだろう。

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理想のスポーツカーはここにあった!

薄く、軽いアルミドアを開けてレザー張りのバケットシートに滑り込む。

スエードにレッドステッチが眩しい3本スポークのステアリングとその奥の大径タコメーター&スピードメーター、センターコンソールにも各種メーターがずらりと並ぶ。見た目に反して随分とレーシーなコクピットだ。

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2,3度アクセルを煽ってキーを捻るとグォン!と荒々しい音とともに始動。アイドリングはやや不安定で音量もかなり大きい。

シフトレバーをを"左下"へと動かし1速へ。オイルが巡ったばかりのエンジンを労わるようにゆっくりと車を出し、トラフィックに加わる。

4000回転程度を維持しながら時速60マイルで走っているだけでもエンジンの熱い鼓動が伝わってくるようなサウンドに気分が高揚する。イタリア人は世界一仕事が出来ないが車作りは世界一上手い人種であると痛感させられるようだ。

しばらく走り大通りを外れてチリアドのワインディングへ向かっていく。チリアドはキツい登り坂となる。古い1.6L自然吸気エンジンでは厳しいのではないだろうか? ミッチェリGTは当初抱いていたそんな懸念をガソリンと一緒に焼き尽くすような元気な走りでグイグイ山を登っていく。

その加速力はエンジンが一回り大きいのでは と錯覚するほどで少ないパワーでスポーティな走りを得るには軽量化がいかに大切かを思い知らされる。

ハンドリングは適度な踏ん張りとピーキーさで思い通りにノーズの向きを変えられる絶妙なセッティング。コーナリングの速い車は数あれど、ここまでコーナリングの楽しい車は数えるほどしかないだろう。

次のコーナー、その次のコーナーとクロスした3速と4速をフルに使って攻めていくうちにチリアドトンネルへ。名残惜しいが試乗はここでおしまいだ。

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最後に

イタリア車というのは得てして強烈な魅力を持っているがミッチェリGTは格別に魅力的── いや、中毒的だ。一度乗ると病み付きになってしまうような車というものは意外にも少なく、出会いも限られている。もし、貴方がミッチェリGTを狙っていてチャンスが巡ってきたならば、そのチャンスは絶対に逃さないようにするべきだろう。f:id:LsCarLife:20180811213833j:image

 

Vol.11 その全てが新しかった 1971 Karin 190Z GT

カリン 190Z 

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"The BrandNew SportCar" 

この宣伝文句を覚えている方はいるだろうか?

今回紹介するのはカリンの誇るスポーツカー 190Z。

アメリカで日本で世界で。グローバルに大ヒットを果たした"Z-Car"の魅力に迫る。

 

日本生まれアメリカ育ち

このフレーズが当てはまるものは多々あれど車、特にスポーツカーにおいてこの表現が最も似合う車は190Zだと言っても過言ではないだろう。

190Zは対米輸出戦略を見据えて設計された3ドアクーペで、ポニーカーを"スポーツカー"として扱うアメリカ人のスポーツカー観をその衝撃によってめちゃくちゃに破壊し、新たな価値観を与えたアメリカにおいて歴史的なスポーツカーだ。

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基本的なスペック
販売期間:1967-1973年


ボディタイプ:3ドアクーペ


エンジン:1.9L Inline-6 DOHC 


駆動方式:FR


ホイールベース:2330mm


車両重量:1060kg

 

若者の救世主
1960年代当時、アメリカで買えるスポーツカーらしいスポーツカーと言えばドイツやイタリア、イギリスといった欧州諸国から海を渡ってきた高性能GTであり、彼らは若者の憧れの的であると同時に大多数にとって手の届かない高嶺の花だった。

若者が買えるのはセイバーやスタリオンといった国産の鈍重なマッスルカー。重く大柄なボディに巨大なエンジンを載せた直線番長の代名詞とも言える車たちだ。マッスルカーでは10秒レース以外で欧州スポーツに敵うはずもなく、若者たちは週末の各地のサーキットでヨーロピアンスポーツにコテンパンに打ち負かされたのは言うまでもない

また、数ある国産車の中でもコケットとマンバは欧州製のGTに十分に対抗し得るパフォーマンスを持っていたが2台はともにスポーツカーというよりはレーシングカーに近い性格であり、価格もコケットが5000ドル、マンバが6000ドルと高性能の代償に非常に高価で若者にはとても現実的な選択肢とは言えなかった。

しかし67年にアメリカに上陸した190Zはヨーロッパ製スポーツカーに負けない高性能と国産車より少し高い程度の値段で若者が飛びつくのも無理もなかった。

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Z-Carの"Z"

それは国産車贔屓の終わりを意味していた。

1.9Lの直列6気筒DOHCエンジンは160psを発揮、1トンそこそこの軽量なボディを時速135マイルまで加速させる。グロッティのようなスーパーGTにこそ一歩及ばないものの当時としては十分に高性能で、ドライバー次第でオセロットやフィスターを追いかけ回すことすらできた。そんな日本製のスーパーカーが少し無理をすれば買えてしまう。その事実は多くの若者に夢を与え、多くの走り好きを虜にしたのは言うまでもない。

そしてこの車が多くの若者に新鮮に映った最大の要素はその砲弾型のボディの内側にある。

160psのハイパワーを受け止める軽量で強固なモノコックフレームと四輪マクファーソンストラットの魅力は多くの国産車ラダーフレームやプラットフォームで、サスペンションはリア・リーフリジッドが定番だったと言えば当時いかに革新的な存在であったかが伝わるだろうか?

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日本生まれの欧風スポーツ
用意されたグレードは1グレード

1900ccツインカムエンジンと5速マニュアル・トランスミッションを備える190Z GTのみ。

このマニュアルミッションは殆どの車がオートマチック車もしくは4速以下のマニュアル車であるというアメリカ国内の自動車事情を見越し、俗に"フィスター・シンクロ"とも呼ばれるサーボ式シンクロを搭載することで高いスポーツ性をアピールする役目を担っていた。

また、1900ccツインカムエンジンはノーマルながら連装キャブレターや等長マニホールド等で武装され保障値で160psとレーシングカー並のハイパワーを誇っていたが高回転型にチューニングされたそのエンジンを自在に唄わせ、パワーを100%引き出すのは至難の技だった。

このエンジンもまた低回転の豊かなトルクで走る国産車とグロッティの高回転・高出力エンジンを意識したもので、国産車にないスポーツ性のアピールに一役買っていた。

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いざコクピットへ!

コクピットに収まるとまずスポーティなインテリアとロングノーズが目に飛び込んでくる。

チョークを引き、アクセルを煽りながらキーを捻ると1.9L直列6気筒エンジンが目を覚ます。

乾いた ややハイトーンな整ったアイドリング音はいかにもスポーツカーといった趣でマッスルカーのドロドロ・ドコドコとやかましいサウンドとは全くの別物でこのサウンドもまた当時の若者を魅了したのであろうことは想像に難くない。

長いシフトレバーを左上へ押し上げるとグニュッとソフトなフィールとともに1速に吸い込まれる不思議なシフトフィール。これはサーボ式シンクロ独特の感触だ。

クラッチを一気に繋いで全開ダッシュを決めたい衝動を抑えながら重いクラッチペダルをゆっくり踏み込み発進させる。

低回転のトルクが細く、発進はやや難しいがどことなく往年のグロッティを思い起こさせるフィールという意味ではたしかにエンジニアの狙い通りの"演出"であるようだ。

ゆっくりとアクセルを踏み込んでいくと連装キャブレターが空気を吸い込む唸りが大きくなっていく。ここで2速にシフトアップ

さあ、ついに全開だ。

一旦アクセルから足を離し再び床まで踏み込む。

190Zは豪快な吸気音とハイトーンのエグゾーストを撒き散らしながら加速していく。その様はまるでレーシングカーのよう。

なるほどたしかにスポーツしている。

飛ばしているともちろんコーナーが迫ってくる。

思いっきりブレーキング。フロントにしっかり荷重を載せてノーズをインに向ける。

四輪ストラットの足回りは時速110マイルからのブレーキングとターンインをしっかり支え、フロントヘビーが災いしてやや外側に膨らみながらも概ね思った通りのラインを描いてコーナーを抜けていく。同年代の国産車ならブレーキングでフラつきターンインでノーズが外側へズルズルと流されていたであろうことを加味すれば十分すぎるぐらいに上出来だろう。

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最後に

今回は偉大な日本製スポーツカー カリン190Zに触れたわけだが実はこの車に触れるのは初めてではない。クラシックカーレースの世界ではサーキットにラリーにと様々なカテゴリで活躍する人気マシン故に私も数回190Zを駆ってグラベルやワインディングを攻めたことがある。

しかしそれは決してこの車が安いためだけの人気ではなく、スポーツ性と高いポテンシャルの裏付けであるように私は思う。

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